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こんにちは。岩井ゼミ4年生の澤木一真です。
今回の記事では、自分が進める、社会人の方へのインタビュー企画のレポートをしたいと思います。
今回インタビューしたのは、一橋大学大学院教授の「石倉洋子 先生」です。
石倉 洋子(イシクラ ヨウコ)
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授
上智大学外国語学部英語学科卒業、フリーランスの通訳を経て、1980年にバージニア大学大学院でMBAを取得。85年日本人女性で初めて、ハーバード大学大学院にてDBA(経営学博士)を取得。その後、コンサルティング会社を経て、92年、青山学院大学国際政治経済学部教授に。2000年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。著書に『世界級キャリアのつくり方』(共著、東洋経済新報社)など
今回、インタビューのテーマは「働く事」
いくつものお仕事を経験されている石倉先生の学生時代や、それぞれのキャリアの節目での気持ちを聞きました。
構成は
1、【学生時代】
2、【通訳の仕事】
3、【アメリカでの大学院生活】
4、【コンサルティング会社時代】
5、【その後、教授へ】
6、【やってみないと始まらない】
7、【広く考える事が大事】
です。
それでは、以下がインタビュー内容です。
【学生時代】
◎大学時代について、教えて下さい。
========大学時代、英語が好きで外国語学部に入りました。上智と他大学で迷っていましたが、学園祭に行き、そこで気に入り上智大学へ入学を決めました。上智大学ではESS(英語部)に所属していました。大学3年生の時、カンザスへ留学し、はじめて自宅を離れて、勉強をしました。アメリカでは、ボランティア活動など、様々な活動が盛んに行われており、日本では知らなかったそういった活動が、とても刺激的でしたね。
その後、日本に帰国したのですが、就職活動に出遅れ、企業を受けたけれど採用を頂けなかったので、そのまま成り行きで専門学校に通いながら通訳の仕事を始めました。========
【通訳の仕事】
◎なぜ、通訳の仕事をしようと思ったのですか?
========通訳を始めた理由は、専門的な技術が必要だし、報酬も良いし、すごい人と会えるから。準備のために自分にも大いに勉強になりました。様々な人の通訳をする事はとても楽しく、この仕事で、期限や目的のはっきりした仕事をして報酬をもらう事と、人との関係を維持する方法を学んだように思います。
しかし、段々、通訳の仕事を続けていても、通訳の人材会社をつくる位しか、キャリアの展望がないと思うようになりました。また、自分は、通訳をする事に興味があるのではなく、通訳をしている話の中身に興味がある事に気がつきました。
その中でも、特に自分はビジネスに興味があるらしい。「もしだめだったら帰って来て同じ仕事をすればいい。」と考え、ビジネススクールに行く事を決断しました。========
【アメリカでの大学院生活】
◎そして、アメリカの大学院へ。その当時の様子について教えて下さい。
========短期間で集中して準備をし、まずバージニア大学のビジネススクールに行きました。バージニアはそれほど規模は大きくない州立大学ですが、郊外で家庭的な環境が、何もわからず一人で来た自分には向いていました。そこでのMBAプログラムは本当に面白く、実践的な勉強が出来ました。MBAプログラムに入った事はとても貴重な経験でした。
バージニア大学を卒業後、ハーバードビジネススクール(HBS)の博士課程に進学しました。バージニア卒業時に、仕事のオファーもいくつか頂きましたが、「教える事」に興味があったので、ハーバード・ビジネススクールの博士課程に入学を決めました。就職するという選択もありましたが、博士号をとった後でもビジネスの世界にはいけそうだけど、博士課程はその時しか機会がないという思いもあり、あまり深く考えず進学を決意したのです。
しかしその後、ハーバードに行った時は、かなり苦労しました。ハーバードという歴史と伝統、名前に気後れしてしまったのです。最初の実践的なテストで、落ちてしまいました。ビジネスの経験も少しはあるし、MBAだし、自分の得意な分野だと思っていただけに、この経験は大きなショックでした。さらに、博士課程は研究者のためのプログラムなので、実践的な研究に興味があり、得意だと思っていた自分は、そこでもストレスを感じました。
それでも、博士号をとれば達成感もあるだろうし、今までとは違った新しい世界が開かれると考え、何とか卒業しました。予想以上に時間がかかってしまいましたが、HBSに行った事について、後悔はしていません。========
【コンサルティング会社時代】
◎その後、コンサルティングのマッキンゼー社へ。なぜコンサルで働こうと思ったのですか?
========理由は、大学や企業に比べて、概念的な思考と実践のバランスが必要だし、いろいろ実務上のノウハウも学ぶことができる、特にマッキンゼー社は歴史があり、規模も大きく、環境が整備されており、自分を成長させてくれると思ったからです。またマッキンゼー社の人は、面白そうな人が多かったからです。
しかし、自分は分析力が非常に鋭いという方ではないので、頭がとても良く、猛然と働くプロフェッショナルの中でとても苦労しました。とくに最初は、成果が出ず、業績が全くあがらず、自分はコンサルティング業界に向いていないのではないかと考える事もありました。しかし、ある時期に新規事業のアイディアを考え、それをトップに提案して実際にやらせてもらうようになりました。これは、自分のアイディアの実践でしたし、思い入れも強かったので、とても楽しく、有意義な経験でした。その新事業には、お客様のニーズもあり、HBS時代の自分のスキルも生かせました。やっと自分の能力が発揮できる場ができたことが大きな自信となりました。========
【その後、教授へ。】
◎その後、大学教授になろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
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様々な要因がありますが、一番は夫が大病をした(その後亡くなった)事です。夫は、私のHBS時代にトップマネジメントを対象としたHBSの短期プログラムに参加しており、その後、私が経営コンサルタントとして低空飛行を続けていた時に、離婚、転職を経て日本に帰国してきた人で、短期間で結婚しました。
その夫が、私の新しい事業が軌道に乗り始めた時に、大病をしました。その後、結局夫は半年近く会社を休む事になり、自宅での看護、病院との往復などで心労が溜まり、ただでさえ緊張感を強いられるコンサルティング会社で働く事が難しくなって来ました。
その時に、青山学院大学から誘われた事は、本当に幸運でした。
それまでは、コンサルタントとして働く上での目標もありましたが、人生の節目でキャリアの軌道修正をし、自分の持つ優先順位を見直し、前向きに判断する事でキャリアアップの方法はいくらでもある事を感じました。
その後、青山学院大学の教授となり、8年の勤務を経て、現在に至ります。========
【やってみないと始まらない】
◎それだけ様々な経験をされる方はなかなかいらっしゃらないと思うのですが?
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私は、新しいものが好きで、あまり深く考えずに行動をしてしまうので。笑考えれば考えるほど、やりたくない理由が浮かんで来てしまうので、とりあえず行動をします。いつも大切にしている事は、「やってみないと始まらない」という事です。また、イメージが固まるのがいやだという気持ちもあります。ある場に長くいると、自分のイメージが固まってしまい、新しい自分をつくるチャレンジがしにくくなります。常に新しいことがしたいという人生の楽しみが減ってしまうと思います。
もちろん、転職や場を変える場合、迷う気持ちが起こります。そういう場合、だいたい誰かに相談します。状況に依りますが、自分をよくしっている、そして自分が心を許せる人2人くらいに相談します。そうすると、いろいろアドバイスや自分では考えていなかった点を指摘されることもあり、それを参考にして、自分で決めるのです。このプロセスで、自ずと答えは見えてくるようです。
例えば、HBS時代など、何度も挫折を味わってらっしゃいます。それを乗り越えた時、どのような事を糧にして頑張れたのですか?
自分に対するプライドもあります。
あの人に出来て、私に出来ないわけがない。だから、このまま中途でやめるわけにはいかない。そういう風に考えました。また、自分の得意としている事で、ニッチを探しました。そうする事で、周りの人の中で自分の立ち位置をしだいに確立することができてきたと思います。
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【広く考える事が大事】
◎そんな何にでも挑戦する石倉先生にお伺いしたいのですが、「やりたい事がわからない」と言い、行動に移せない学生が多いように感じます。そんな学生に向けてアドバイスをお願いします。
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何でも、広く考える事が大事だと思います。例えば、音楽が好きな人がいるとして、その人は、ミュージシャンになる以外にも、音楽に関わる方法はあります。こういう事が好きだ。こういう分野がなんとなく好きだ、ということが、誰にでもあると思います。あまり難しく考えず、その「好きらしい事」から手をつけるのが良いと思います。
今は、インターネットによって、様々な情報を得るだけでなく、自分から発信する事も可能です。また、意見や興味の対象の近い人と、年齢や国境など関係なくつながる事も出来ます。このような時代に生まれ、エネルギーも体力もある学生が出来る事はたくさんあると思います。自分から声を上げれば、そこに人が集ってくる可能性は大きいと思います。
また、何かを見たり、人に出会ってインスパイアされる事も非常に重要です。常に前向きな人を求め、自分を前向きな人が多くいる環境に置く事で、それに影響されて、自分がつらい時も乗り切れます。
文句をつける人は何をやっても文句をつけるので(笑)それならば、自分のやりたい事をやった方が良いと思います。
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◎石倉先生にとって、仕事はどのようなものですか?
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仕事は、とても楽しいものです。今まで、様々な事を経験してきましたが、「いやいや仕事を受け入れた、やりたくないことを無理やりやらされてきた」という感覚はあまりありません。やってきた仕事には、興味をひかれることが何かあって、全て面白かったと思いますね。
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以上がインタビューをまとめた記事です。
お会いして、様々なキャリアをお持ちの先生に僕自身もとても刺激を受けました。
この記事を見る学生が、僕と同じように何か刺激を受けてくれたら幸いです。
以上、インタビューレポートでした!