その中でも、特に自分はビジネスに興味があるらしい。「もしだめだったら帰って来て同じ仕事をすればいい。」と考え、ビジネススクールに行く事を決断しました。
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【アメリカでの大学院生活】
◎そして、アメリカの大学院へ。その当時の様子について教えて下さい。
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短期間で集中して準備をし、まずバージニア大学のビジネススクールに行きました。
バージニアはそれほど規模は大きくない州立大学ですが、郊外で家庭的な環境が、何もわからず一人で来た自分には向いていました。
そこでのMBAプログラムは本当に面白く、実践的な勉強が出来ました。MBAプログラムに入った事はとても貴重な経験でした。
バージニア大学を卒業後、ハーバードビジネススクール(HBS)の博士課程に進学しました。バージニア卒業時に、仕事のオファーもいくつか頂きましたが、「教える事」に興味があったので、ハーバード・ビジネススクールの博士課程に入学を決めました。就職するという選択もありましたが、博士号をとった後でもビジネスの世界にはいけそうだけど、博士課程はその時しか機会がないという思いもあり、あまり深く考えず進学を決意したのです。
しかしその後、ハーバードに行った時は、かなり苦労しました。ハーバードという歴史と伝統、名前に気後れしてしまったのです。
最初の実践的なテストで、落ちてしまいました。ビジネスの経験も少しはあるし、MBAだし、自分の得意な分野だと思っていただけに、この経験は大きなショックでした。
さらに、博士課程は研究者のためのプログラムなので、実践的な研究に興味があり、得意だと思っていた自分は、そこでもストレスを感じました。
それでも、博士号をとれば達成感もあるだろうし、今までとは違った新しい世界が開かれると考え、何とか卒業しました。予想以上に時間がかかってしまいましたが、HBSに行った事について、後悔はしていません。
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【コンサルティング会社時代】
◎その後、コンサルティングのマッキンゼー社へ。なぜコンサルで働こうと思ったのですか?
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理由は、大学や企業に比べて、概念的な思考と実践のバランスが必要だし、いろいろ実務上のノウハウも学ぶことができる、特にマッキンゼー社は歴史があり、規模も大きく、環境が整備されており、自分を成長させてくれると思ったからです。またマッキンゼー社の人は、面白そうな人が多かったからです。
しかし、自分は分析力が非常に鋭いという方ではないので、頭がとても良く、猛然と働くプロフェッショナルの中でとても苦労しました。
とくに最初は、成果が出ず、業績が全くあがらず、自分はコンサルティング業界に向いていないのではないかと考える事もありました。
しかし、ある時期に新規事業のアイディアを考え、それをトップに提案して実際にやらせてもらうようになりました。これは、自分のアイディアの実践でしたし、思い入れも強かったので、とても楽しく、有意義な経験でした。
その新事業には、お客様のニーズもあり、HBS時代の自分のスキルも生かせました。やっと自分の能力が発揮できる場ができたことが大きな自信となりました。
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【その後、教授へ。】
◎その後、大学教授になろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
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様々な要因がありますが、一番は夫が大病をした(その後亡くなった)事です。
夫は、私のHBS時代にトップマネジメントを対象としたHBSの短期プログラムに参加しており、その後、私が経営コンサルタントとして低空飛行を続けていた時に、離婚、転職を経て日本に帰国してきた人で、短期間で結婚しました。
その夫が、私の新しい事業が軌道に乗り始めた時に、大病をしました。
その後、結局夫は半年近く会社を休む事になり、自宅での看護、病院との往復などで心労が溜まり、ただでさえ緊張感を強いられるコンサルティング会社で働く事が難しくなって来ました。
その時に、青山学院大学から誘われた事は、本当に幸運でした。
それまでは、コンサルタントとして働く上での目標もありましたが、人生の節目でキャリアの軌道修正をし、自分の持つ優先順位を見直し、前向きに判断する事でキャリアアップの方法はいくらでもある事を感じました。
その後、青山学院大学の教授となり、8年の勤務を経て、現在に至ります。
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【やってみないと始まらない】
◎それだけ様々な経験をされる方はなかなかいらっしゃらないと思うのですが?
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私は、新しいものが好きで、あまり深く考えずに行動をしてしまうので。笑
考えれば考えるほど、やりたくない理由が浮かんで来てしまうので、とりあえず行動をします。いつも大切にしている事は、「やってみないと始まらない」という事です。
また、イメージが固まるのがいやだという気持ちもあります。ある場に長くいると、自分のイメージが固まってしまい、新しい自分をつくるチャレンジがしにくくなります。常に新しいことがしたいという人生の楽しみが減ってしまうと思います。
もちろん、転職や場を変える場合、迷う気持ちが起こります。そういう場合、だいたい誰かに相談します。状況に依りますが、自分をよくしっている、そして自分が心を許せる人2人くらいに相談します。そうすると、いろいろアドバイスや自分では考えていなかった点を指摘されることもあり、それを参考にして、自分で決めるのです。このプロセスで、自ずと答えは見えてくるようです。
例えば、HBS時代など、何度も挫折を味わってらっしゃいます。
それを乗り越えた時、どのような事を糧にして頑張れたのですか?
自分に対するプライドもあります。